アメリカは完全分業制、本当の意味での実力主義
海外でのキャリアが長い三橋氏。日本にも知人のクリエイターはたくさんおり、日本の制作事情もよく把握している。海外と日本、仕事の進行の違いは何だろうか。
「一般的によく言われるのが、アメリカは完全分業制です。日本は最初から最後まで、全部個人で引き受けるということですね。
あと、この業界に限らず言われますが、アメリカは本当の意味での実力主義です。
僕は実力主義を求めて行ったところも大きいので、自分にとっては心地よいです」
では、異国の地で仕事をこなす、自身の取り組み方はどうなのだろうか。
「オンとオフの話ですが、僕は『仕事は仕事でしっかりやる』という考え方でやっています。
ひとたび仕事を任されると『やってやるぞ』という思いが強くありますから。だから、アメリカで仕事が終わる時間になっても、納得するまでやりたいという気持ちでずっと残ってやっているんです。
すると、アメリカの同僚は『なんてプロジェクトに対して情熱的に取り組んでいるんだろう!』と見てくる(笑)。自分にとっての当たり前が、向こうでは尊敬されるんです」
日本発の映像を発信し、世界の度肝を抜きたい
これからの目標、将来の夢は何だろうか。
「自分の中で、もっとアメリカで見て学べるところ、やり残したところ、もう少し見て、自分で吸収できると思う部分などなど、まだまだあります。
ただ、それをもう少しやったら、日本へ帰りたいなと思います。
自分が向こうで見てきたもの、経験したものを持って日本へ戻り、
日本の技術で、世界の度肝を抜くような映像を、日本発で作りたいです。
まだ具体的な考えもない、ただの絵空事なんだけど(笑)」
そう思うに至った理由は何だろうか。
「当然僕は日本人なんで、日本が好きだし日本を誇りに思っています。そして、日本から出てくる映画、作品に対してのアート性に強く惹かれています。
そういったものを目にする度に、映像表現に関して日本が世界に示していけるものがたくさんあると思うんです。
現状、日本のクオリティとハリウッドに差があるのは事実です。でも、その差がスタッフの技量の差がもたらしているとは、僕は思わない。日本のクリエイターの知人や、学生の作品はとても優秀なんです。決してハリウッドに引けを取らないですよ」
どのようにすれば力・才能を結集して、最終的な映像のクオリティに結び付けていくことができるか……。そういう部分を、いま見ようとしているという。
「ハリウッドのやり方が、最終的な正解だとは思わないです。ハリウッドのやり方も『こうすればいいのにな』というやり方がたくさんあります。
そういったやり方をもっと工夫し、突き詰めていくことで、予算が小さいという制限などがある中でも、インパクトのある映像を作ることが可能なんだと思います。
そんなことが、日本発で実現できれば最高ですよね」
また、今回は日本のCG専門学校を訪問し、学生との交流も行った。日本の学生と接してみて、どういう感想を持ったのだろうか。
「やっぱりまだ学生ですから、現段階ですごいスキルを持っている人はいないんです。でも、彼等には大きな未来がある。
だから僕は、彼等に僕の抱いている夢を語りました。彼等に対し『そういう方向性の考えもあるんだよ』ということを知ってもらいたかったんです。
生徒の中には『合言葉は“侍JAPAN”で行きましょう!』という風に、元気よくメールをくれた子もいましたよ(笑)」
続きます。
インタビュー・執筆:荒尾 宏治郎
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