プリテスト(初期動作試験)開始
組み立てが終わり、「見慣れたパソコン」になったワークステーションは、ここでさまざまな初期動作のテストを受ける。
モニタに次々と起動画面が浮かび上がる。
手際よく、次々に各種ケーブルを差し込まれていくパソコン達。しん、としていた物言わぬ箱に光がともり、動き始める瞬間だ。
「テスト用のソフトは、誰かがエンターキーを押していけば進むような仕組みにはなっていません。“対話式テスト”と呼んでいますが、ランダムに表示される“質問”に対して、オペレータがそれに対応するキーを押さなければテストは進みません。他のことをやりながら漫然と進められるテストではないので、エラーが出れば必ず発見できる仕組みです」(清水さん)
チェック中。
診断プログラムによって、顧客のオーダー内容とPC内の構成が合致しているかどうかもここで検査される。「オーダーと違う構成の製品がこのテストをパスすることはありません」と、清水さんは胸を張った。
ところで、さっきから足元の方で、カランコロン音がするような。と、思って下の方に目をやると。
なんかブドウみたい(マウス)。
ラックの下に、マウスが鈴なりになっていた。
「マウスはUSBチェックのために、6個まとめてPCに差します。ちょっとかっこ悪いですけど」と、笑う清水さん。
テスト用のスペースすべてにマウスが下がっているとしたら、ここにはどんだけの数のマウスが……と思ったら、マウスはテストの終わったPCからあっさりと引き抜かれ、新たにテストに回ってきたPCのスペースへ移動させられていった。ま、そりゃそうですな。
ここの初期動作テストにかかる時間は15~20分。
「全部同じに見えるけど、中身はみんな違うんだよ」
…とか、人間にかける励ましのようなことを。
ラン イン(連続動作試験)+ソフトウエアインストール
プリテストの後は連続動作試験。今度は人手を介さない検査がサーバによって行われる。![]()
鉄板に並んだパンのタネみたいですね、
とかいったら怒られますか。
おとなしく並んでいるように見えるPCも、中身はてんてこ舞いで動いている、らしい。さっきまでのわさわさした空気ではなく、ここだけ人も少なく、工場とは思えない静けさがあたりを包む。
「人が介在しなくてもできることに、人は介在しません」
人手がかかるのは最後にモニタを接続して、テストとインストールが正常終了したことの確認だけ。通常はラン インからソフトウエアインストールまで、2~2.5時間ほどかかる。
しかし最近は、64bitOSとともに容量の大きなメモリ、HDDを搭載したいというオーダーも多く、このインストール&テスト工程に通常以上の時間がかかることもあるという。こうなってくると、「受注後5日」での納入期日はなかなかシビアなスケジュールだ。
抜き取り検査はバリエーション豊か
ソフトウエアインストールまでが完了したPCは、任意でピックアップされたものが実際の使用環境に近づけた抜き取り検査を受ける。プリンタに接続しての印字テスト、DVDソフトの再生テスト、マイク・スピーカーを接続して録音・再生テスト、外付けデバイスの接続など。
あらゆる場面を想定したテストがPCを待ち受ける。
CDもDVDもプリンタもキーボードも。
さらに、HPの検査基準は業界の中でも最も過酷といわれる。その過酷な検査の正体とは。
漬け物石2段重ね。
重さは……6kg、が2つで12kg!
「最近はあまり使われていないかもしれないと思うんですが、重いモニタを載せても正常に動くかどうか、こうしてチェックしています。電圧を100Vから90Vに下げた状態での稼働チェックをしたり、輸送時の耐久性チェックのために、時速100kmで1000km走ったのと同じ状況を作り出す装置もありますよ」(清水さん)
いよいよ梱包!出荷間近!
抜き取り検査ラインのすぐ隣は梱包スペースだ。
大量の梱包資材がスタンバイ。
完成したPCはここに運ばれ、箱に詰められるのを待つ。
ここでも同梱の付属品はバーコード管理され、納品漏れがないよう厳重にチェックされている。
「付属品の漏れがあると、商品の宛名ラベルと保証書が発行されません」(清水さん)
商品を運ぶパレットは段ボール製
「パレットの台座の部分が特殊な形になっていて、このパレットで2tまで運ぶことが可能です。段ボールですけど、すごいんです(笑)。軽くて丈夫なので助かりますね。(段ボールの)メーカーさんはこれで特許も取っています。
段ボールメーカーさんのご協力で、古くなったパレットも100%再利用しています。これまでは古くなった木材パレットの廃棄費用なども発生していましたが、段ボール製のものに変えてからはそのコストも削減できました」と清水さんは話す。
二重に貼られたテープ
梱包にも抜き取り検査があり、一度開封したものを再度梱包し直すため、荷物に貼られるテープが二重になる場合がある。それについて、「途中で誰かに開けられたのではないか」などの問い合わせがくることも。「二重に検査された万全のものなので、お客様はアタリです、とお伝えしています(笑)」とのこと。
独断! 昭島工場さんちの気になるポイント
工場内で見かけた、HPの製品製造工程にはほぼ関係のない写真を集めました。
でも、工場見学の醍醐味ってこんな部分にもあるでしょ? え、ない?
まあまあ、箸休め的な気分でご覧くださいな。
歌舞伎町あたりでよく見かける絵柄のステッカー。
キャッチコピーは「不具合を見逃さない!」と工場仕様に。非常階段にあったすごい注意書き。断言なのか。
工場の中はとにかくでかいものの行き来が多い。
これは梱包資材を運んだり、梱包済みの荷物を運んだりする貨物用のエレベータ。
梱包資材が運ばれてきたようですよ。
1Fの搬入口から、2Fの工場フロアへ資材が到着。
黄色い台が前進。
台がちょっとずつ下降中。
もう少し。
がっしゃん。ここから梱包スペースまで台車で運ばれる。
堪能しましたか?
さて、続いてはサーバの製造工程へ。
取材・執筆:斎藤 彩子
写真:滝川 洋平
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