授賞式が終わった後、審査員と受賞者の皆さんをご招待して、恒例の記念パーティーが行われました。
会場は昨年も大好評だった、都内某所にある創作アジアン料理のレストランです。
アジア各地の食材や調理法が取り入れられたお料理を、立食スタイルでいただきます。
受賞者インタビュー in パーティー会場
パーティー会場で出会った受賞者の方々から、受賞作についてお話をうかがいました。
○最優秀賞:大桃洋祐氏
■今回の受賞作はどのように生まれたのですか?
自分の幸福論として、“たとえどういう形でも目的が叶えられたなら、その人は幸せなのではないか”という自分なりの考えが最初にあって、それを伝えるために物語を作りました。また、映像にする際は手で作ることを大事にしようと初めに決めてありました。
■普段はどんな事をされているのでしょうか?
僕はまだ大学院の学生で、普段は制作ばかりしています。
■今後どんな活動をしていきたいと思いますか?
自分の考えを語る作品作りというのは、僕にとって今作が初めての試みでした。これからもより一層、何か自分なりの考えだとか、メッセージのようなものを、自分の作品で表現し、世の中に発信していけたらいいなと思っています。
○優秀賞:植草航氏
■今回の受賞作はどのように生まれたのですか?
音楽の中の、盛り上がる一瞬へ向かって走って行くような構成を、アニメーションの中に落とし込んでみたい思い制作しました。最初はただ漠然と“起伏が激しい構成にしたい”と考えていましたが、手探りで制作していく中で、音楽と映像との融合という方向性が固まっていきました。
■この曲で作りたい、という曲があったのですか?
アニメーションと音楽と、同時進行での制作でした。初めは構成だけが頭の中にあって、それに合わせて友人に音楽を作ってもらったんです。また、演奏は別の人にやってもらいました。全員が美大の学生です。
■今後、どんなものを作りたいと思いますか?
見ていて気持ちいい、何度でも見たくなるような映像を作りたいです。音と映像のシンクロを考えた構成を追求していきたいと思います。
○BS-TBS賞:ひだかしんさく氏
■今回の受賞作はどのように生まれたのですか?
作品の構想に行き詰まっていた頃、うちの奥さんに“どういうアニメがいいと思う?”と聞いたら、“ネズミが出てくる可愛いアニメーションがいい”と言われ、その言葉をきっかけに制作しました。
■どのようにシナリオを練っていったのでしょうか?
ネズミが出てくるという前提があって、ネズミといえばチーズ、そうきたら次は牛を登場させよう、という感じで繋げていき、話ができていきました。見る人が最後まで楽しめるような作品を作ろうと心掛けました。
■創作活動で大事にしていることは何ですか?
クオリティでもストーリーでも、結構早い段階で妥協せず丁寧に作るということを意識しています。テレビや劇場向け映像など、商業ベースのものにも負けないレベルまで、頑張って突き詰めていきたいです。今後は長編にもチャレンジしたいと思います。
○TBS DigiCon6.com賞:藤勝友侑也氏
■受賞の感想はいかがですか。
ありがたいですし、これからの制作の励みになります。時間が無く厳しい条件の中で一所懸命に作った作品ですので、賞をいただけて非常にうれしいです。
■普段はどんなお仕事をされているのですか?
フリーランスで、コマ撮り映像やイラスト制作などの活動をしています。去年は10話のクレイアニメーションを作りました。
■創作活動をする上で大事にしているものは何ですか?
壮大なことよりも、生活の中で面白いと感じる要素を大事にしています。自分が思ったことを、厚かましくなく人に見せられるような作品を作れたらいいなと思います。これからもマイペースに、正面からやりたいことに取り組んでいきたいです。
○HP賞:吉野耕平氏
■今回の受賞作はどのように生まれたのですか?
ある日曜日に家にいて、部屋を眺めていたら“家の中って面白い、何かできないかな”軽い気持ちで思ったのがきっかけでした。初めは、特に何かを表現したいとか、そういう事は考えていなかったんです。
■今回の作品で、工夫した点はどこですか?
あまり技術的なところに偏らず、手で作った面白さのようなものを出していきたいと考えて作りました。曲も自分で作ったものです。
■今後は、どんな活動をしていきたいと思いますか?
普段は実写映像を作る仕事をしています。CG映像は実写を作るのとは別物と考えていて、趣味というか、それぞれ並行して頑張りたいなと思っています。
○三菱地所賞:奥下和彦氏
■今回の受賞作はどのように生まれたのですか?
美大の卒業制作をするにあたり、これまでの人生を振り返ったとき、今の自分は色んな出会いによって作られたと感じたんです。今まで影響を受けた、さまざまなものと繋がった映像を作ろうと考えて、この『赤い糸』という作品が生まれました。
■創作活動において大事にしていることは何ですか?
自分のアイデンティティや哲学、秘めた思いや衝撃を受けた出来事などを表現していきたいと思っています。
■今後、どんな物を作っていきたいと思いますか?
今回の作品は、すべて一筆描きにするという制限を受けた表現方法で制作していたので、次回作では制限を設けずに、さまざまな分野に対して、自分の多様性を提示してみたいと思っています。
○サンライズ賞:山岡氏(ムサオカフィルムズ)
■今回の受賞作はどのように生まれたのですか?
自分の子どもに見せたい映像を作ろうと思ったのがきっかけです。私は広告デザイナーの仕事をしており、交流のあるCM会社さんと一緒に制作しました。Flashアニメーションの部分はほぼ自分で作り、編集やVTRへの変換、音付けなどは仲間にお願いしました。
■創作で大切にしているものは?
子どもに見せても大丈夫なものを作るという信条をもって、今後も作り続けたいです。以前は過激な演出の作品なども楽しんでいましたが、いざ親になるとブレーキがかかります。そんな、自分に起こった自然な気持ちを大切にしたいのです。
■今回、“命”をテーマにした作品で訴えたかったことは何ですか?
命がどこから来たかを考えて細分化していくと、最終的には物質となります。でもそこに何かが無いと、きっと命にはならないということを見る人に感じてもらえたら、この作品は成功だったと思います。
○奨励賞:大森清一郎氏、松村和順氏(株式会社百人組)
■今回の受賞作はどのように生まれたのですか?
(大森氏)
現代風の『まんが日本昔ばなし』を作ってみたいと思ったのがきっかけです。昔ながらのアニメには独自のスタイルがあるなと思い、そういう作家性重視の作品を作りたいと思いました。脚本には時間をかけ、全部で6本くらい書きました。
■現代風にするために工夫した点はどこですか?
(大森氏)
色やかたちなどのデザインです。キャラクターにも、背景にもロゴにも、細かい部分まで、まんが日本昔ばなしにポップさを付け加える感じですね。
■チームで制作されたのですか?
(松村氏)
制作自体は、監督・脚本・ビジュアルも含めて大森さんが全部作りました。この作品の企画は“大森さんが作りたいものを作る”という条件で始めました。百人組(会社??)では、作品に意見を出したり、キャスティングなどの手伝いをしました。
■今後、どういう活動をしていきたい?
(大森氏)
もし協力者を見つけられれば、『百鬼』を“100体の化け物が現れる話”として完成させたいです。仕事として制作をしていると当然、自分の好きなものだけ作るわけにはいかないけれど、面白いことを仕事にしていけたらいいですね。
○奨励賞:椙本晃佑氏
■今回の受賞作はどのように生まれたのですか?
私はミュージックビデオ制作の仕事をしていて、仕事中は部屋のテレビをつけっぱなしにしています。その画面を眺めていた時にふと、“テレビには色々な世界が流れている”と感じ、それをひとつにつなげたら面白いなと思ったのがきっかけです。
■制作にあたり、どのような点を工夫しましたか?
それぞれのチャンネルを別の世界だと認識させるために、番組ごとに絵柄を変えたり、全く違う種類の色をつけたり、番組を混ざり合わせた時“なるべく違和感が出るように”気をつけました。
■今後、どんなものを作りたいですか?
ただ音楽に合わせた映像ではなく、その音楽のいろんな要素を完全に、音符の一つひとつまで拾い上げていくような映像を作れたらいいなと思っています。
○学生賞:武井琴氏
■今回の受賞作はどのように生まれたのですか?
高校のテーマ学習で、自分の好きなことに挑戦するという授業があって、その機会に制作したものです。もともとパペットアニメーションには興味があって、自分で作ってみたいと考えていました。
■制作する上で、特に大変だったことは何ですか?
たくさんの写真を一人で撮るのが大変でした。この作品は1秒間あたり5枚程度で、プロの方よりずっと少ない枚数だったのですが、それでも全部で7000枚以上撮りました。人形がうまく動いてくれないこともあって、何度も壁にぶち当たりました。
■これから、どういうものを作りたいと思いますか?
コマ撮りアニメーションは見るのも作るのも好きなので、その手法を使って、ただ見て楽しむだけではなく人の心に訴えかけたり、見る人の何かを変えたりできるようなものを作りたいです。
取材・執筆:蓬莱早苗(ほうらい さなえ)
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