SIGGRAPH ASIA 2009 inパシフィコ横浜 「Autodesk Day」セミナー参加レポート① SIGGRAPH ASIA 2009 inパシフィコ横浜 「Autodesk Day」セミナー参加レポート③

2010年1月 8日 (金)

第2部:映画『よなよなペンギン』トーク

誰も見たことのない、日本的なフルCGアニメーションを作る

この冬公開の映画『よなよなペンギン』は、『メトロポリス』『まんが日本昔ばなし』など、数々の有名作品を手掛けてきたりんたろう監督が、「日本的なアニメーションのノウハウを活かして、世界一かわいい映画をつくりたい」という思いのもと制作したフルCGアニメーション映画です。Autodeskの3DCG制作ソフトは、この作品の制作現場でも用いられています。

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セミナー第2部では、『よなよなペンギン』がどのように作られていったかを、特別ゲストのCGIスーパーバイザー・篠崎亨氏と、株式会社ダイナモピクチャーズのアニメーションチーフ・田中太一氏、モデリングチーフ・難波克毅氏が語りました。

キャラクター作り:手間を覚悟で、描き手としてモデリングをする

この作品は、日本とフランスとタイの3ヵ国で制作されました。制作のメインで使われたツールはMayaで、フランスのチームは“慣れ”の理由からSoftimageを使用しています。

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キャラクター作りでは、人気イラストレーターの寺田克也氏が描いた2Dイラストから、3Dモデルを起こしました。監督の意向で、3Dモデラーの1人ひとりが“描き手”として制作に当たるようにするため、今回は苦労や手間を覚悟の上で、あえて四面図(正面、左右、上方向からのデザイン設計画)を用意しなかったといいます。

モーション:日本的アニメにおける動きの特徴を3DCGで表現

日本のアニメーションが培ってきた2Dセルアニメーションの質感を活かしてほしい、というのが監督の要望でした。昔からある日本的なアニメーションは、秒間ごとのコマ数を少なくして、一つひとつのポーズや形状を、見る人に印象付けるという作り方をしています。海外では大抵1秒間に24コマのところを、日本では1秒間に8コマもしくは12コマにするのです。

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「秒間ごとのコマ数を減らすというのは、手間が減るということではありません」と篠崎氏はいいます。どうやって動きに個性を付け、視聴者に印象付けるかをすべて細かく決める必要があり、またポーズとポーズの間をどうつなぐかという部分が難しく、つなげた後の細部修正なども多く発生するため何重にも手間がかかるそうです。篠崎氏は、こうした個性的な動きなど“色気のつけ方”こそがアニメーターの基本的な仕事なのだと話します。

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制作チームでは監督のイメージする動きを実現していくために、“原画”と“動画”の2段階の工程を設けました。指定したポーズだけを連続再生する“原画”を先に作り、つなぎ部分を後から埋めて“動画”を作る方法をとりました。「海外スタッフは特に、滑らかな動きのCGアニメーション制作に慣れていますから、この作り方を理解するのに苦労したようです。最終的にはわかってもらえました」(篠崎氏)。

背景:手描き絵本のような背景を作る

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もうひとつ、日本のアニメーションの大きな特徴として今回重視されたのは、背景だといいます。背景まで統一した世界観を持たせるのが、日本的な作品の多くに見られる特徴だそうです。「監督からは、手描きの美術ボードと同じ絵で背景を作るようにと指示されました。絵本のようなCG背景を目指しました」(篠崎氏)。

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制作の手順としては、まず「ブロッキング」という作業で、画コンテをもとに仮オブジェクトを配置して、大まかなポジションを決めます。この作業を入れると以降の作業の無駄を省くことができます。ローモデル、ミドルモデルと徐々に作り込んでいきますが、そのままでは直線的すぎて“いかにもCG”といった絵になります。そこで、MayaのLattice機能で歪みをつけ、最後に細かい部分を調整します。こうして背景を作ってから、それに合わせてキャラクターアクションなどを決めていきます。

制作管理:新旧のツールを活用し、スタッフの連携を強化

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『よなよなペンギン』は3カ国の共同制作ということで、作業にあたるスタッフ同士が横の連携をどう取っていくかという点も大きな課題だったそうです。「データ管理はMayaのリファレンス機能を使って行いました。制作進行の管理には昔から日本の2Dアニメーション制作現場で使われてきた“カット袋”という手書き書類を用いました。古いやり方のようですが、作業の重複や振り分けミスの予防にとても役立ちましたよ」(篠崎氏)。

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制作方法まですべて、日本的アニメーションの味わいを活かすという監督の想いを貫き、こだわりぬいて作られた大作アニメーション映画『よなよなペンギン』。12月23日から全国120の松竹系シアターで上映中です。

 

取材・執筆:蓬莱 早苗(ほうらい さなえ)

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