SIGGRAPH ASIA 2009 inパシフィコ横浜 「Autodesk Day」セミナー参加レポート②

2010年1月 8日 (金)

第3部:FFXIIIリアルタイム カットシーン・ワークフロー

~FFXIIIのカットシーンができるまで~

日本を代表するゲームのひとつであり、世界中に多くのファンを持つ大作RPG“ファイナルファンタジー(以下、FF)”シリーズ。その最新作として今年12月17日に日本全国で発売された『FFXIII』も、Autodeskのツールを用いて制作されています。

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セミナー第3部では、『FFXIII』のリアルタイムカットシーン(イベントムービー)がどのように作られたのか、そのワークフローが株式会社スクウェア・エニックスの開発スタッフの皆さんによって紹介されました。

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作品中で合計6時間にもなるムービーを制作するために与えられた期間は、たったの16カ月だったといいます。この短期間で膨大な量のデータを、どうやって制作したのでしょうか。キーワードは、「フローの後戻りをしない」「多セクションでの並行作業」でした。

絵コンテからシーン構築までの流れ

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まずストーリーボードセクションで演出やカメラアングルなどを指定した絵コンテを用意し、それをもとにデータ制作を開始します。シーン構築には、「レイアウトツールとして標準で十分な機能が揃っていること」「モーションキャプチャデータを扱うため、データ管理がシンプルになること」「64bitOS対応版が登場したこと」などを理由にMotionBuilderが使われています。

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最終的なシーン構築は、モーションキャプチャ(MC)のデータを使用します。MCでは、よりリアルな動きを収録できるよう、小道具として剣や銃やバイクなどの模型を準備し、リストに沿って収録を進めました。

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MotionBuilderから実機ツールへのコンバートには、効率を重視してMotionBuilderの社内制作のカスタムプラグインが使われています。カットシーンに必要なデータは、すべてカット単位で管理されており、モーションデータもカット単位に分割されています。『FFXIII』の実機ツールは、「クリスタルツールズ」という社内制作のミドルウェアで、同作の制作エンジンでもあります。

モーション(MC、ボディ、フェイシャル、シミュレーション)

カットシーンのモーションはMC(モーションキャプチャ)班、ボディモーション班、フェイシャル班、シミュレーション班の4チーム計28名で制作されています。

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『FFXIII』では業務の流れがストップしないよう、それぞれのチームが同時進行で作業を進め、最後にデータをマージして実機表示する方法をとりました。これによって短期間での制作が可能となっています。シーン構築の段階で作られたデータをもとに、ボディモーション班が調整作業をしている間、フェイシャル班は調整前の仮データで作業を進めます。

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フェイシャルの作業のうち、言語に合わせて唇の動きをつくる“リップシンク”では、手付けで口角や口周りの筋肉の位置を細かく調整することにより、リアルで自然な動きを実現しました。とはいえ、すべてのシーンでその方法を取っていては、とても制作時間が足りません。

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そこで採用されたのが音素解析エンジンによる自動でのリップシンクです。日本語版はNHK技研のソフトを、英語版では旭化成の『VORERO』を使って、作業時間の短縮に成功したといいます。声優さんの音声データを収録する前から作業できるよう、MC時の役者さんの仮音声で作業を進めたそうです。

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シミュレーション(頭髪や衣服の揺れなど)制作での目標は、「動くべきものを動かすこと」と、今回FFシリーズ初めてのPS3作品ということで「次世代のモーション制作標準規格を決めること」が重視されました。

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リアルタイムカットシーンのシミュレーションは、PC上で演算を行い凝った絵作りができるDCCツールと、実機で演算を行いアニメデータを待たずに自然なセカンダリアクションが実行されるクリスタルツールズを併用しました。ワークフローの整理と最適な物理を選択することが課題だったといいます。

VFX(視覚効果)

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VFXは、カットシーン単位で作業コスト(作業量)の見積もりを出して制作しました。短期間で制作するため、スケジュールを正確に出すことが必要です。同じ“1個のエフェクト”でも短時間で作れるものもあれば、その10倍の労力が必要なものもあり、そういった一つひとつの作業コストを割り出してデータベースに登録し、効率よく仕事を振り分ける工夫がされています。

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エフェクト作成ツールは、テクスチャ作成にMayaとPhotoshopとAfter Effects、モデリング・シェーダー設定にMaya、エフェクトデータの作成にクリスタルツールズのEffectEditor、キャラクターへのアタッチにクリスタルツールズのCharaViewer、配置・実装にクリスタルツールズのCutEditorを使用しています。

ライティング&ポストエフェクト

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ハードが進化している今、ライティングは非常に重要な作業です。どんなにモデルやフェイシャルを作り込んでも、ライティングの具合によって映像の印象は大きく変わります。作業を効率化するために、最新状態のルックをリアルタイムに調整確認しながら進めます。

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ここまで終えたら、最後に被写界深度やカラーコレクションなどのポストエフェクトフィルターを追加します。『FFXIII』のカットシーンは、こうした工程を経て完成となります。

 

取材・執筆:蓬莱早苗(ほうらい さなえ)

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